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拘る事の大切さ…


今回のカスタムで、そんな事を強く、強く、そして深く、深く、学ばせて頂きました。『可能な限り、全てのパーツをリンクル塗装に…』。これは、オーナー様からのリクエストでありまして、そのお言葉の通り、フレームは元より、スィングアーム、ホィール、トリプルツリー、ハンドルにミラー、ヘッドライト、フロント&リア・コントロール、サイドマウント、インナーのブレーキローター&ベルトプーリー、更にはエアークリーナーから各種スペーサー類に至るまで、とにかく殆どのパーツをリンクルブラックにて仕上げさせて頂きました。

リンクル塗装=チジミ塗装は、通常と云いますか、一般的には、エンジンやトランスミッション部分によく使われる、あのザラザラ感満載な表面処理でありまして、それをボディー全体に施すと云う事は異例中の異例。全てのパーツを鏡面化して、ピカピカツルツルの仕上がりが最もよろしいとされる、現在のカスタムシーンの流れには完全に真逆のスタンスな訳なのであります。

正直、私も、当初はこの”全部リンクルブラック化”は、かなり反対の立場でありまして、それは、もちろん、お客様のハーレーを、最高にCOOLにさせて頂く事が私どもの仕事でありますので、時として、たとえそれがお客様のご意向であったとしても、お客様の利益を最大限考慮させて頂いた上で、お諌めを申し上げるのもその役目の一つだと思っております。そんな訳で、何度か通常仕上げのツルツルピカピカにてフニッシュされる事をオススメさせて頂いたのですが、常にオーナー様の決意は岩よりも硬く。。。

しかし、どうでしょう… 先日来より、最終組付けに入ったこちらのカスタム。オートバイの形に戻りつつの状況下でありますが、リンクルブラック独特の輝きがもの凄く異次元的でありまして、今までには見た事の無い異様なオーラで頭がクラクラしてくる程であります。そして、完全に組み上がった時の姿を想像すると、そのインパクトは、かなり強烈である事は安易に想像が付きます。。。

現状のカスタムシーンに一石を投じる… などとは、少々大袈裟な表現ではありますが、このかなりのアナーキストにしてアバンギャルドぶりな佇まいを見ておりますと、私は、1970年代後半にロンドンで勃興した、パンクロッカー達の姿がだぶって仕方ありません。まさに反体制派のこのスタイリングは、純粋で熱いロックンロール・スピリットに溢れているのでありまして、とにかく、格好が良い!!!

自らを、とことん信じ切ると云う事。

こちらの車両のオーナー様は、とある業界、それも非常にワイドレンジな業界なのでありますが、その世界では、まさにカリスマの様な存在の方であります。たったの一代で築きあげられた現在のお立場や、業界に対するその影響力等々、男子であれば、その生き方に憧れを持たぬ者など一人もいないであろうと思える程のお方でありまして…

しかし、そのスタートは、きっと0に近い状態からであったと推察致します。それが、ここまでの大きな成功を手にされておられる訳でありますから、今回のリンクルブラックの件に象徴される様に、如何に自らのオリジナリティーを信じ、そして常に変わらぬ強い心を持ち続ける事の大切さを、私は大いに学ばせて頂きました。

『やはり、フレームとスィングアームは、鏡面のグロスブラックで行きましょう!!』
『もちろん、溶接痕など全部消し去りまして、完全な下地処理を行いますから!!』
『ホィールも、やはり、グロスブラックの方が、COOLだと思いますよ…』等々、、、

仕上がりの色味に関しては、再三、色々とご提案をさせて頂いたのですが、オーナー様のご決断は終始一貫。ただの一度もブレた事はありませんでした。

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